KUGA LABORATORY AT THE UNIVERSITY OF TOKYO

東京大学

大学院総合文化研究科

広域科学専攻

相関基礎科学系


久我研究室

光の量子非破壊測定

1光子レベルの微弱光を吸収なく検出する、光の量子非破壊測定を目指しています。現在、新たな実験装置を立ち上げています。さらに、空洞共振器用のミラー基板をレーザー加工で自作し、加工後の凹面形状を光学的に診断する技術開発を通じて、新分野開拓を行っています。

光の量子非破壊測定

光は通常、空気中の塵など、散乱による損失がなければ観測できません。単一光子状態などの光子数が少ない量子状態は、損失を受けると変化してしまいます。光の伝搬を妨げない透明な検出器があると、量子情報処理などに有用です。

とんでもない空想のようですが、光の量子非破壊測定と呼ばれ、研究者は実現を夢見てきた技術です。光より波長が1000倍長いマイクロ波では、2012年にノーベル物理学賞を受賞したS. Harocheらが、原子のマイクロ波遷移を利用して量子非破壊測定を実現しました。しかし、光学遷移の場合は励起準位の寿命が短いため、光の量子非破壊測定は困難です。

そこで、「1光子レベルの微弱光で単一原子のスピン状態を変化させ、その変化を空洞光共振器による量子電気力学効果(Cavity QED)により識別する」という手順で、光の量子非破壊測定を目指します。この手順では、レーザー冷却・捕獲、Cavity QED、ラマン遷移といった、当研究室で蓄積されてきた技術を生かしています(図3-1)。ラマン遷移は位相保持型原子時計の研究にも利用できます。この計画に基づき、現在、新たな実験装置を立ち上げています。

図3-1:光源の部分 外部共振器型半導体レーザー、ルビジウムガスセルの飽和吸収分光、偏光分光といった、中性原子のレーザー冷却における定番技術を用いる。
図3-1:光源の部分 外部共振器型半導体レーザー、ルビジウムガスセルの飽和吸収分光、偏光分光といった、中性原子のレーザー冷却における定番技術を用いる。

さらに新分野開拓を目指す意味で、以前は空洞共振器用のミラーを特注していましたが、現在は光学表面の自作に挑戦しています。具体的には、光ファイバーの切断平面を、CO2レーザー(波長10.6 μm)を用いてレーザー加工します(図3-2)。同時に、加工後の凹面形状を光学的に診断する技術の確立を目指しています。新分野開拓中の副産物として、光の伝搬解析を連続量量子計算に利用することを、現在、理論的に検討しています。

図3-2:CO2レーザーの光
図3-2:CO2レーザーの光 
波長10.6μmの遠赤外線で、視認できない。しかし、レンガブロックに照射すると、ビームスポットが約1000 ℃に加熱され、熱輻射による発光を観測できる。

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